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勾留を争う(5)~接見等禁止決定

勾留中、被疑者が原則として、家族や友人と面会することができます。

しかし、否認事件や共犯事件などでは、勾留が決定される際、接見等禁止決定が同時になされることが多いです。

このような決定がなされると、弁護士以外とは誰とも面会や手紙のやりとりをすることができなくなってしまいます。

ただでさえ、不安な留置場生活で、心の支えとなる家族や大切な人との面会を禁止されることは非常に辛いものがあります。

そこで、接見等禁止決定だけでも解除するよう争う必要があります。

 

接見等禁止決定とは


接見等禁止決定とは、刑事訴訟法81条に基づき、逃亡や証拠隠滅を防ぐために、弁護人以外の者との面会や文書の授受を禁止するものです。

ただし、衣類、現金、書籍などの差し入れは接見等禁止の対象外とされることが多いです。

 

そもそも勾留されて留置場内にいる人が面会中にどうやって逃亡や証拠隠滅となる行動を取ることができるのかわかりません。弁護士以外の面会では、留置官が同室で面会内容を聞いています。その状況でどうやって口裏合わせなどできるのでしょうか。

他方、逮捕・勾留されて毎日厳しい取調べを受けるとともに留置場の厳しい環境で生活を送る被疑者の方にとって、家族や大切な人との面会は唯一の心の支えといっても過言ではありません。

警察側も接見等禁止で被疑者が弱っているところにつけ込んだような取調べ(「お前が認めないから家族と面会できない」等)をすることが多く、これが虚偽自白の一つの要因になってしまっていると思われます。

本来であれば、多くの事件では接見等禁止決定など不必要だと思われるのですが、残念ながら裁判官は簡単に接見等禁止決定を下してしまいます。

 

接見等禁止決定を争う方法


勾留決定に対する準抗告と同様、接見等禁止決定に対する準抗告という方法で争う手法があります。しかし、成功率はそこまで高くないのが実情です。

 

 他方、接見等禁止の一部解除申請という争い方もあります。

 これは、依頼者の親族、婚約者など、接見を認めるべき者を全て明示した上で、これらの者との接見等だけでも認めるべきと主張する方法です。

 家族ぐるみで犯罪を行う極めて例外的なケースを除き、家族が一緒になって犯罪に関わっていることなど考えられません。

 裁判官としても、面会自由にすると犯罪に関わった人物が口裏合わせのために面会に来てしまうとの危惧を有していても、さすがに家族との面会まで禁止する理由がないとして、接見等禁止決定を解除してくれます。

 共犯者多数の否認事件であっても、犯罪に関係ないことが明らかな家族との接見等についてはほとんどの事件で認めてもらえます。

 

 家族や大切な人との勾留は、被疑者にとって極めて大事なものです。必要のない接見等禁止決定に対しては、今後も争っていきたいと思います。

 

大阪弁護士会所属  弁護士 永井 誠一郎  

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