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勾留を争う(3)~準抗告

 弁護士の勾留阻止活動にかかわらず、裁判官が勾留決定をしてしまった場合でも、勾留決定に対する準抗告という方法により、再度勾留の是非を争うことができます。また、勾留が延長された際には、勾留延長決定に対する準抗告という方法で争うこともできます。

勾留決定に対する準抗告


 勾留決定は、地裁又は簡裁の裁判官1名が判断しますが、準抗告に対する決定は地裁の裁判官3名によって判断されるため、より慎重な検討が期待できます。また、統計上、簡裁裁判官よりも地裁裁判官の方が勾留請求を却下する確率が高くなっており、地裁裁判官の方が簡裁裁判官よりも不必要な身体拘束に対する意識が高い傾向にあると思われます。

 残念ながら、一部裁判官は不必要な身体拘束に対する意識が鈍く、安易に勾留請求を認めてしまうことがあります。そのような裁判官が担当となってしまい、勾留決定を下された場合にも準抗告という方法で争うことができます。

 否認や黙秘事件であっても、勾留請求却下という結論を得られることがあります。そもそも勾留は、罪証隠滅と逃亡を防止するために認められるものです(本来は被疑者取調べをするために認められるものではありません)。そのため、否認事件であっても、釈放されても証拠隠滅や逃亡を行うこと可能性がないことを説得的に説明できれば、勾留請求却下という結論を得られることがあります。

勾留延長決定に対する準抗告


勾留は原則10日ですが、やむを得ない事由があるときにはさらに10日の延長が認められています。

 勾留満期直前に検察官が勾留延長請求を行い、裁判官が勾留延長を決定するという流れになります。

 弁護人は、裁判官の勾留延長決定に対しても準抗告という争い方をとることができます。

 勾留延長は、10日以内に証拠収集や関係人聴取を終えて起訴するかどうかの判断することができないと考えられるときにのみ認められるものです。

 捜査機関の怠慢で捜査が遅れているときなどには、被疑者の身体拘束を長期化させてまで勾留を延長させる理由はありません。

 準抗告で争った結果、勾留延長が却下されると、身体拘束を続けることができず釈放されます。場合によっては、延長10日は認めないが3日なら認めるといった決定も下されます。この場合も、3日以内に検察官が起訴できなければ釈放されます。

大阪弁護士会所属 弁護士 永井 誠一郎  

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