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勾留を争う(2)~検察官や裁判官との面談

今回は、勾留を争う方法として、検察官との面談、裁判官との面談について説明します。また、その前提として面談前にどのような準備が必要かについても説明します。

①事前準備
事件を受任した弁護士としては、まずは勾留が不必要であることを検察官や裁判官に説得するための資料や情報の収集をします。
釈放された場合に同居することとなる親族や職場の上司(事情を知らせても大丈夫な場合)などと連絡を取り合って、検察官や裁判官に対する説得材料を探します。
釈放された後に同居することとなる親族の身元引受書を作成したり、被疑者に有利な事情について親族や上司の方の報告書を作成したりします。
被害者がいる事件では、被疑者本人と被害者が接触できないようにする方策を一緒に考えて報告書にまとめることもあります。

このような被疑者にとって有利な情報や資料を警察官や検察官が収集して裁判所に報告・提出することはほぼあり得ません。
捜査機関としては、「勾留したい」と思っている事件について、わざわざ勾留を否定する方向の証拠を集めようとはしないためです。

弁護人が必要な情報や資料が収集できたら、次に勾留する必要が無いことを説明するための意見書を作成し、検察官や裁判官に提出します。

弁護人が勾留を防ぐために行うべき事前準備事項は多岐にわたります。
しかし、ほとんどの事件では、弁護人が初めて被疑者と会った翌日には勾留請求されるため、これだけの活動を勾留されるまでの半日程度で済ます必要があるのです。
そのため身内の方が逮捕された場合には、早めに弁護士にご相談ください。

②検察官との面談
被疑者を勾留するかどうかを決めるのは裁判官ですが、裁判所に勾留を求めるかどうかを決めるのは検察官です。
検察官が勾留を請求しなければ、被疑者は釈放されます。
そこで、まずは検察官に対して勾留請求をやめるよう訴えかけることになります。
いつ勾留請求予定日の午前中のうちには意見書や資料を持参して担当検察官と面談して、釈放しても大丈夫だと思わせるように説得します。
検察官を説得できなくても、意見書や資料は裁判所にも提出済みであることを伝えることにより、「勾留請求しても裁判所に却下されるかもしれない」と勾留請求を諦めることもあります。

③裁判官との面談
 ②の活動にかかわらず検察官が勾留請求をしてきた場合、裁判所にも意見書と資料を提出した上で、裁判官と面談します。
 意見書に書ききれなかった事情や特に弁護人が重要視している事情を伝えることで、裁判官に対して、本件では身体拘束は不必要だということを説明します。
 最近では勾留請求の4%程度は却下されるようになっており、十分な準備をすれば必要のない勾留は防げる可能性があります。

 不必要な身体拘束を防ぐことは依頼人にとって大きな利益になります。釈放されて在宅事件となれば、職場への通勤や学校への通学を再開できます。
 弁護士にとって、時間との戦いになり事前準備が大変ですが、今後も不必要な身体拘束を防ぐ活動に励んでいきたいと思います。

裁判所が勾留を決定してしまった場合の争い方について次回以降に説明します。
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