労働時間は自分で記録するのが賢明です
会社側には労働時間把握義務があります。しかし、会社側がこれに違反して労働時間の記録を残さないことがあります。
その場合でも、様々な工夫をして労働時間をある程度立証できる場合もありますが確実なものではありません。
労働者としては、労働時間は自分で記録しておくのが賢明です。
〇 会社には労働時間把握義務がある
長年にわたって会社側の労働時間把握義務を定める法律はありませんでしたが、使用者には従業員の給与や労働時間数等を記載した賃金台帳を作成する義務があることから(労働基準法108条、労働基準法施行規則54条1項5号)、その前提として会社側には労働時間把握義務があると解釈されてきました。
2019年4月施行の改正労働安全衛生法によって初めて会社側に労働者の労働時間を把握する義務が明文で定められました(労働安全衛生法66条の8の3)。
会社側には労働時間把握義務があります。
〇 実際には会社側が労働時間を把握していないことも
会社には従業員の労働時間を把握する義務がありますが、これに違反したところで何のペナルティ(罰則)もありません。
賃金台帳保管義務に違反した場合には30万円以下の罰金がありますが、仮に事実と異なる労働時間が書かれていたとしても、形として賃金台帳を作成・保管さえしていれば立件される可能性はかなり低いでしょう。
改正労働安全衛生法上の労働時間把握義務については、会社がこれに違反した場合の罰則規定は置かれていません。
そのため、残業の証拠を残さないよう、労働時間の記録をわざと残さない会社もあります。
会社によっては、タイムカードのような労働時間が客観的に記録される方法を採用せずに従業員の自己申告制とし、毎日定時までしか働いていない内容の自己申告記録しか残していないこともあります。
仮にタイムカードを置いている会社であっても、それが後に廃棄・隠匿されるおそれもあります。
〇 会社に記録が残っていなくても立証をあきらめない
時間外労働をしたという事実については労働者側が立証しなければなりません。
上記のとおり、会社側が意図的に労働時間を記録しなかった場合には、立証が難しくなってしまいます。
しかし、スマホアプリ(GPS記録等)、メール履歴、パソコンのログ情報、警備システム、交通ICカードの履歴等によって、わかる範囲で労働時間を割り出し、それでもわからない日の労働時間は推計するといった方法で労働時間を立証できる場合もあります。
特にスマホの地図アプリなどでは本人が意識していなくてもGPS位置情報が記録されている場合があります。
ただ、上の方法による立証は、事実の推測や時間の推計が含まれるため客観的に明白なものとまではいえません。
しかし、このような立証方法になる理由は、元々は会社側が労働時間把握義務に違反していることが原因なので、そのことを考慮して裁判所が労働者側に有利に判断してくれることもあります。
〇 労働時間は自分で記録しておこう
会社が労働時間把握義務に違反したり、タイムカードを廃棄・隠匿した場合に不利益を被るのは労働者です。
仮に別の方法である程度立証できたとしても、立証が確実とまではいえない点が考慮されて控えめな時間分しか裁判所が認めてくれない可能性もあります。
そこで、労働者の意識として「自分の労働時間は自分が記録する」くらいの認識でいるべきです。
最近はスマホアプリを利用して簡単に労働時間の記録を残すこともできます。手間はかかりますが、後で改ざんしたとか言いがかりをつけられないよう、一定期間ごとにスクショをとる(撮影時間を残す)、自分や家族宛に添付ファイルでメールを送る(メールの送信時間を残す)というところまでできればなおよいです。
自らの大切な権利を守るためにも、労働者としては自分の労働時間は自分で記録しておくのが賢明といえます。
その場合でも、様々な工夫をして労働時間をある程度立証できる場合もありますが確実なものではありません。
労働者としては、労働時間は自分で記録しておくのが賢明です。
〇 会社には労働時間把握義務がある
長年にわたって会社側の労働時間把握義務を定める法律はありませんでしたが、使用者には従業員の給与や労働時間数等を記載した賃金台帳を作成する義務があることから(労働基準法108条、労働基準法施行規則54条1項5号)、その前提として会社側には労働時間把握義務があると解釈されてきました。
2019年4月施行の改正労働安全衛生法によって初めて会社側に労働者の労働時間を把握する義務が明文で定められました(労働安全衛生法66条の8の3)。
会社側には労働時間把握義務があります。
〇 実際には会社側が労働時間を把握していないことも
会社には従業員の労働時間を把握する義務がありますが、これに違反したところで何のペナルティ(罰則)もありません。
賃金台帳保管義務に違反した場合には30万円以下の罰金がありますが、仮に事実と異なる労働時間が書かれていたとしても、形として賃金台帳を作成・保管さえしていれば立件される可能性はかなり低いでしょう。
改正労働安全衛生法上の労働時間把握義務については、会社がこれに違反した場合の罰則規定は置かれていません。
そのため、残業の証拠を残さないよう、労働時間の記録をわざと残さない会社もあります。
会社によっては、タイムカードのような労働時間が客観的に記録される方法を採用せずに従業員の自己申告制とし、毎日定時までしか働いていない内容の自己申告記録しか残していないこともあります。
仮にタイムカードを置いている会社であっても、それが後に廃棄・隠匿されるおそれもあります。
〇 会社に記録が残っていなくても立証をあきらめない
時間外労働をしたという事実については労働者側が立証しなければなりません。
上記のとおり、会社側が意図的に労働時間を記録しなかった場合には、立証が難しくなってしまいます。
しかし、スマホアプリ(GPS記録等)、メール履歴、パソコンのログ情報、警備システム、交通ICカードの履歴等によって、わかる範囲で労働時間を割り出し、それでもわからない日の労働時間は推計するといった方法で労働時間を立証できる場合もあります。
特にスマホの地図アプリなどでは本人が意識していなくてもGPS位置情報が記録されている場合があります。
ただ、上の方法による立証は、事実の推測や時間の推計が含まれるため客観的に明白なものとまではいえません。
しかし、このような立証方法になる理由は、元々は会社側が労働時間把握義務に違反していることが原因なので、そのことを考慮して裁判所が労働者側に有利に判断してくれることもあります。
〇 労働時間は自分で記録しておこう
会社が労働時間把握義務に違反したり、タイムカードを廃棄・隠匿した場合に不利益を被るのは労働者です。
仮に別の方法である程度立証できたとしても、立証が確実とまではいえない点が考慮されて控えめな時間分しか裁判所が認めてくれない可能性もあります。
そこで、労働者の意識として「自分の労働時間は自分が記録する」くらいの認識でいるべきです。
最近はスマホアプリを利用して簡単に労働時間の記録を残すこともできます。手間はかかりますが、後で改ざんしたとか言いがかりをつけられないよう、一定期間ごとにスクショをとる(撮影時間を残す)、自分や家族宛に添付ファイルでメールを送る(メールの送信時間を残す)というところまでできればなおよいです。
自らの大切な権利を守るためにも、労働者としては自分の労働時間は自分で記録しておくのが賢明といえます。
大阪弁護士会所属 弁護士 永井 誠一郎
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